それでもボクはやってない スタンダード・エディション

【作品紹介 - Amazon.co.jpより - 】
周防正行監督が10年のブランクを経て完成させ、これまでの作風を一変させた社会派の1作。電車内で痴漢の容疑をかけられた青年が、無実を訴え続けるも、証拠不十分のために起訴されて裁判で闘い続けることになる。監督が痴漢冤罪事件を取材して練り上げた物語だけあって、細部まで綿密にリアルな展開。これまでの裁判映画では描ききれなかったシーンがいくつも登場し、最後まで観る者を惹きつけて離さない作りになっている。
留置場での日常は、経験していない人には驚きの連続だが、最もショックなのは「疑わしき者は有罪」という警察や裁判所側の姿勢。取り調べでの自白強要はともかく、冷静に判断しそうになった裁判官が急に左遷されてしまうエピソードが強烈だ。被告人の青年役を演じる加瀬亮を中心に、キャスト陣もそれぞれの役を好演。電車内での痴漢に関わらず、ちょっとした運命によって、その後の人生が一変してしまう怖さは、本作を観た人すべてが感じるはずだ。(斉藤博昭)

【ユーザーによる評価】 平均評価: 4.5/ 総数: 84件
[5点] 2007年完成度ナンバー1の邦画
痴漢冤罪という日本の刑事裁判の抱える問題点を描いた社会派映画。
しかしながら娯楽度も高く、裁判シーンでは
まるで自らが傍聴席に座っているかのように手に汗握る、
2007年の邦画では完成度ナンバー1の映画だと思う。

聞けば周防正行監督は、これを作るのに2年間に及ぶ徹底取材を行ったという。
綿密な取材と構想、練られた脚本、十分な制作期間と予算があれば
邦画でもここまで完成度の高い作品がが出来上がるのかと
日本映画の底力を思い知った次第、こういう作品こそヒットして欲しいんだけどなぁ…

地味度:★★★★★
熱中度:★★★★★
男は身につまされ度:★★★★★ (2008-05-15)
[5点] 冒頭の二行が、見終えた後にひたひたと、胸に迫ってきた
 痴漢冤罪事件が起きたその時からの出来事を淡々と、しかし詳細に追っていった、ドキュメンタリー・タッチの映像。事実を歪曲、捏造してでも、主人公を犯人扱いする警察の横暴、杜撰な事情聴取を描いた導入部から、ただごとでない臨場感と緊迫感とを感じながら見入っていました。

 キャストでは、痴漢の犯人扱いされた主人公・加瀬 亮の、「自分が彼でも、たぶんそういう行動をとってしまうのでは・・・」と思わせるキャラと演技、作品の人物的アクセントとしてパンチが利いていた役所広司と瀬戸朝香の弁護士コンビが印象に残りましたね。なかでも、「こんな上司が身近にいたらなあ」と感じた役所広司の弁護士がかっこよく、魅力的だったなあ。

 冒頭、「十人の真犯人を逃すとも  一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」と記された二行が、見終えた後にひたひたと、胸に迫ってきた映画。冤罪を描いた映画としてだけでなく、「裁判では、白か黒かを判断するのは容易なことではないのだ」と実感させられた作品としても、非常な見ごたえを感じました。 (2008-05-04)
[5点] 余計なものを一切排した構成が見事。
私達一般人が裁判に参加するいわゆる「裁判員裁判」開始を来年5月に控えて「痴漢冤罪事件」というメッセージ性の強い題材を今、映像化したことはとても意義のあることだと思います。

余計なものは一切拝して脚本と役者、リアルなセットだけで勝負!という感じも伝わってきます。

映画といえば音楽と言えるほど背景に流れる音楽は映画にとって重要ですが、本作ではほとんどそれがなく、徹底してストーリーを追っていきます。

音楽の重要性を否定はしませんが、本作においては物語に引き込まれる一因になっているのではないでしょうか。

また演出やカメラワークも凝ったところがなく、それが「これを伝えたいんだ!」という明確な監督の意思表示にも感じられました。

なんの変哲もないただの日常を過ごしていただけなのに裁判沙汰に巻き込まれてしまう、特に男性には起こりうることです。

その「身近な恐怖」を感じました。
(2008-04-20)
[5点] ホントに日本の裁判てこんなモン?あまりのレベルの低さに衝撃
 非常によくできた映画だと思う。娯楽性はあまりないけれども、今まで表に出なかった捜査と裁判の闇があばかれるという意味で、衝撃であると同時に、日本の司法の実際のレベルの低さを痛切に認識させられる。
 最後の判決を聞いていると、論理的でないことに気づく。女子学生はウソを言っていない。被告人を擁護する目撃者は状況のすべてを網羅していない。そして、他に誰も痴漢を実行できる人間がいない故、被告人が犯人だと断言しているが、最後の「他に誰も痴漢を実行できる人間がいない」という仮定に対して、隣にいた太った男が被告人の体の前に手を通して女子学生の体を触ったならば、被告人はそれに気づくはずという論理を展開するが、それについての検察側、弁護側による検証はされていないのだ。実際、被告人はリュックをもっており、リュックの前を男の手が通っても被告人はそれはわからなくてもなんらおかしくはない。
 この、もっとも重要な点が、裁判官の勝手な主観で決められたことは、なんとか99.9%の有罪率に合わせて事なかれ主義に都合を合わせるための方便なのだろうか。だとしたら、こんなに恐ろしいことは無い。魔女裁判と同じではないか。
 それに加えて捜査のあまりのずさんさにあきれかえる。よくアメリカ映画で、捜査に不手際があれば、それで有罪にはなりえないというプロットがよくあるが、日本ではそういう機能は働かないのだろうか。
 とにかく、ホントに日本の裁判てこんなモン?って、現実の姿をもっと知りたくなった。 (2008-04-16)
[5点] 電車に乗れなくなる
小学生低学年だった頃、テレビの洋画劇場でジョーズを放送していた。
そしてその夜はお風呂に入るのが凄く恐くなって、
お風呂の前までは何とか行けても、もうフタだけはあけられなかった…
さすがにあれは、幼い頃の感情ではあったけれど、
今作「それでもボクはやってない」を見たあとの電車に乗る恐怖はたぶん、
現在の裁判制度が存在する世の中ではいつまで経っても払拭はできないと痛感してます。
電車に乗れなくなる、これは決して誇張なんかじゃないです。
そしてそれだけが今現在、冤罪を防ぐ唯一確実な方法であるようにも思うからです。

冤罪を防ぐために、電車内では両手をあげて吊革を持ったり、
壁に向かって立ったりするべきという話をよく聞きます。
だけど僕は、そういった状態でいたとしても
「この人がやった」という一言だけでこの映画のような展開が成立してしまうこと、
そして電車内での状態など裁判の場では本当に無力になってしまうこと、
その一言だけが真実をうやむやにしてしまうところが最も恐いと思いました。

これほど世に強烈なメッセージを問いかける映画を作り上げた製作陣に脱帽です。 (2008-04-01)
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